有酸素運動は「炭水化物」の摂取が必要

有酸素運動は酸素を使って「炭水化物と脂肪が燃焼」することで、ミトコンドリアがATPエネルギーを生成し筋肉で使用します。炭水化物が不足すると「シャリバテ」になるのです。

行動食は「おにぎり・パン」をベースに組み立てます。

炭水化物が不足すると有酸素運動が持続できなくなるので、登山中の行動食は「おにぎり・パン」を中心に組み立てましょう。ビタミン類は炭水化物と脂肪を燃焼させる補助食になります。サプリメントよりは「ドライフルーツ」の方がビタミン類に加え繊維質も取れるので、排便を考慮し宿泊登山にお勧めです。

1.炭水化物は最もエネルギーに変わりやすい
2.運動当初1.5時間は主に炭水化物が燃焼される
3.1.5時間後に炭水化物と共に脂肪の燃焼が始まる
4.脂肪は体内に蓄えられるが、炭水化物は備蓄量に限界がある
5.脂肪は炭水化物と混合しなければ燃焼されない

有酸素運動で炭水化物カットダイエットは禁止です。

適度な運動強度を保ち、有酸素運動を継続するには、炭水化物の継続的な摂取が必要です。さらに、脳や神経の働きには「炭水化物」しか使えないため適切な判断や、運動神経能力を保つためにも定期的な炭水化物の補給が必要となるのです。

炭水化物が枯渇するとバテるだけでは無く、筋肉内のタンパク質を分解して炭水化物に転換します。筋肉量を増やして運動能力の向上を目指したい方なら本末転倒ですよね。有酸素運動には継続的な炭水化物の補給が必要となるのです。

バランスの良い栄養補給が長時間行動を支えます。

理想的な行動食は、炭水化物、脂質に筋肉を作っているタンパク質も重要です。厚生労働省の食事バランスガイド(PFCバランス)によると、エネルギー換算でタンパク質(Protein):脂肪(Fat):炭水化物(Carbohydrate)の比率を20%:20%:60%が理想的と考えられています。

エネルギーを生産する栄養素その他の栄養素
炭水化物(米、パン、麺類)
タンパク質(肉、魚、卵、牛乳)
脂質(バター、油、ナッツ類)
ビタミン
ミネラル
水分

カラダの状態に合わせ摂取する行動食を変える

行動食では、体内への吸収スピードを考慮する必要があります。バテてしまったり、疲労を感じた場合は吸収の早い即効性行動食、体調が安定している場合は遅効性行動食を選択します。また、バテてしまってゼリー状の行動食のみ摂取する方がいますが、すぐ消化され腹持ちが悪くすぐエネルギーが枯渇しますので、バテて食べにくくても有酸素運動の原資である炭水化物の摂取が重要です。行動食の即効性と遅効性を考慮し、カラダの状態に合わせて行動食を選択します。

即効性行動食遅効性行動食
エネルギーゼリーなど
飴、キャラメル、チョコレート
ジュースやエナジードリンク
経口補水液(OS-1など)
炭水化物(米、パン、麺類)
タンパク質(肉、魚、卵、牛乳)
脂質(バター、油、ナッツ類)
水・スポーツドリンク

水分補給も即効性と遅効性がある。

グリコーゲン、乳酸、脂肪、炭水化物がもっているエネルギーを100%とすると、ミトコンドリアがATPを生産するのに50%消費します。筋肉がATPを使って運動エネルギーに変えるのにさらに25%消費します。エネルギーは差し引きして75%は「熱」になり体温が上昇します。身体を冷やそうと発汗による放熱作用で水分を失います。発汗の際にミネラルも失うため、水分補給の際は塩分補給も可能なスポーツドリンクが最適と言われているのです。

〇スポーツドリンク
 1.スポーツドリンクの目的は「電解質の損失を予防」すること
 2.既に発生した電解質の不均衡は回復できない(筋肉を弱アルカリ性に戻せない)
 3.エネルギー補給を目的に大量の糖分と炭水化物が添加されているため吸収は遅い
〇経口補水液(OS-1など)
 1.不足している電解質を高めるため電解質濃度が高い
 2.水と電解質の吸収を速めるために、糖濃度は低い
 3.疲労や脱水症状、足をつった場合などにOS-1は有用である。

経口補水液は不味い、と言われる方がいますが、カラダが水分を求めていない状況での摂取は、糖分濃度が低くミネラルの成分が多いため、嫌気反応がでると考えられます。運動発汗し、カラダが非常に水分を求めている状態での摂取は不味く感じることはありません。カラダにスっと震盪していくのを感じることが出来ると思います。騙されたと思ってお試し下さいまし。

カラダの状態に合わせ摂取する水分を変える

常時、経口補水液を飲む必要は無く、通常の水分補給はスポーツドリンクで、経口補水液を一本ザックに入れておくと非常時に安心、という考え方で宜しいかと思います。ケースバイケースではありますが、筆者は夏の体力判定ツアーは発汗量が半端ないのでOS-1を2リットル常備して歩きます。